霊龜元年歳次乙卯秋九月志貴親王<薨>時作歌一首[并短歌] (Manyoshu 230)

梓弓
手取持而
大夫之
得物<矢>手<挾>
立向
高圓山尓
春野焼
野火登見左右
燎火乎
何如問者
玉桙之
道来人乃
泣涙
<W>X尓落者
白妙之
衣O漬而
立留
吾尓語久
何鴨
本名言
聞者
泣耳師所哭
語者
心曽痛
天皇之
神之御子之
御駕之
手火之光曽
幾許照而有

Modern Japanese

梓弓
手に取り持ちて
ますらをの
さつ矢手挟み
立ち向ふ
高円山に
春野焼く
野火と見るまで
燃ゆる火を
何かと問へば
玉鉾の
道来る人の
泣く涙
こさめに降れば
白栲の
衣ひづちて
立ち留まり
我れに語らく
なにしかも
もとなとぶらふ
聞けば
哭のみし泣かゆ
語れば
心ぞ痛き
天皇の
神の御子の
いでましの
手火の光りぞ
ここだ照りたる

Hiragana Pronounciation

あづさゆみ
てにとりもちて
ますらをの
さつやたばさみ
たちむかふ
たかまとやまに
はるのやく
のびとみるまで
もゆるひを
なにかととへば
たまほこの
みちくるひとの
なくなみた
こさめにふれば
しろたへの
ころもひづちて
たちとまり
われにかたらく
なにしかも
もとなとぶらふ
きけば
ねのみしなかゆ
かたれば
こころぞいたき
すめろきの
かみのみこの
いでましの
たひのひかりぞ
ここだてりたる

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