(十六年甲申春二月安積皇子薨之時内舎人大伴宿祢家持作歌六首) (Manyoshu 478)

<挂>巻毛
文尓恐之
吾王
皇子之命
物乃負能
八十伴男乎
召集聚
率比賜比
朝猟尓
鹿猪踐<起>
暮猟尓
鶉雉履立
大御馬之
口抑駐
御心乎
見為明米之
活道山
木立之繁尓
咲花毛
移尓家里
世間者
如此耳奈良之
大夫之
心振起
劔刀
腰尓取佩
梓弓
靭取負而
天地与
弥遠長尓
万代尓
如此毛欲得跡
憑有之
皇子乃御門乃
五月蝿成
驟驂舎人者
白栲尓
<服>取著而
常有之
咲比振麻比
弥日異
更經<見>者 悲<呂>可聞

Modern Japanese

かけまくも
あやに畏し
我が大君
皇子の命の
もののふの
八十伴の男を
召し集へ
率ひたまひ
朝狩に
鹿猪踏み起し
夕狩に
鶉雉踏み立て
大御馬の
口抑へとめ
御心を
見し明らめし
活道山
木立の茂に
咲く花も
うつろひにけり
世間は
かくのみならし
ますらをの
心振り起し
剣太刀
腰に取り佩き
梓弓
靫取り負ひて
天地と
いや遠長に
万代に
かくしもがもと
頼めりし
皇子の御門の
五月蝿なす
騒く舎人は
白栲に
衣取り着て
常なりし
笑ひ振舞ひ
いや日異に
変らふ見れば
悲しきろかも

Hiragana Pronounciation

かけまくも
あやにかしこし
わがおほきみ
みこのみことの
もののふの
やそとものをを
めしつどへ
あどもひたまひ
あさがりに
ししふみおこし
ゆふがりに
とりふみたて
おほみまの
くちおさへとめ
みこころを
めしあきらめし
いくぢやま
こだちのしげに
さくはなも
うつろひにけり
よのなかは
かくのみならし
ますらをの
こころふりおこし
つるぎたち
こしにとりはき
あづさゆみ
ゆきとりおひて
あめつちと
いやとほながに
よろづよに
かくしもがもと
たのめりし
みこのみかどの
さばへなす
さわくとねりは
しろたへに
ころもとりきて
つねなりし
ゑまひふるまひ
いやひけに
かはらふみれば
かなしきろかも

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